いやな、やつ


心配の念すら抱き
じっと倉持を見つめていれば



「…そんなに見るな、気色悪い」


とそっぽを向かれてしまった。


気色悪いだなんて
こいつ何様なんだほんと。



心配があっさりイライラへと変わり
私も倉持と同じくぷいとそっぽを向く。


視界に入った並木道を挟んだ公園には、数組のカップルが仲良さげに笑いあっていた。



あーあ、私、倉持なんかと何してんだろ。



「ねぇ倉持。そういえばなんだけど
どうして今日私を待ってたの?」



この損得で動くメカみたいなやつが、意味もなく仲の悪い私を待つなんてことしない。


きっと何か用事があったはずだ。

聞こうと思っていたのに
すっかり忘れていた。


< 11 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop