いやな、やつ
心配の念すら抱き
じっと倉持を見つめていれば
「…そんなに見るな、気色悪い」
とそっぽを向かれてしまった。
気色悪いだなんて
こいつ何様なんだほんと。
心配があっさりイライラへと変わり
私も倉持と同じくぷいとそっぽを向く。
視界に入った並木道を挟んだ公園には、数組のカップルが仲良さげに笑いあっていた。
あーあ、私、倉持なんかと何してんだろ。
「ねぇ倉持。そういえばなんだけど
どうして今日私を待ってたの?」
この損得で動くメカみたいなやつが、意味もなく仲の悪い私を待つなんてことしない。
きっと何か用事があったはずだ。
聞こうと思っていたのに
すっかり忘れていた。