いやな、やつ



「ほらもう高3の秋だし、私県外に進学する気だからさ、会えなくなっても忘れないようにって。ほんと、春ちゃんて健気だよね」




ちなみに春ちゃんと倉持はどちらも生徒会に入っていたから、面識はある。


ふんわり可愛い春ちゃんとまるで対極にいる倉持だけど、なぜか仲はいいらしい。



まぁそれはきっと、分け隔てなく誰にでも平等に接することのできる春ちゃんの素晴らしさがあってだろうけど。



あぁ…卒業すればもうあの可愛らしい笑顔を見られなくなるのか。




「やだなー、春ちゃんに会えなくなるの」


私はほとんど無意識に
「寂しい」と呟いていた。


すると、それを聞き逃さなかった倉持がそっと口を開いた。



「お前…春が好きなのか?」



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