いやな、やつ


そしてしばらく歩き、いつの間にか私と倉持はしっかり横並びになっていた。


色づく並木道に入った頃、沈黙続きだった私たちに、倉持が口火を切る。



「お前、昨日誕生日だったらしいな…」


「へ?あ、うん」


教えたっけ?と思いつつ
すぐ隣の横顔を見上げる。



夕陽はだんだん沈み、夜の気配がした。

この時間帯は特に時間と時間の狭間にいるって気がして、特別なものに感じる。




「プレゼントは貰ったのか」


「あー、うん。友達にはストラップ貰って、両親には洋服。でも一番驚いたのは、春ちゃんからのネックレスだよね」



春ちゃんとは私の幼なじみで、一つ下の高校2年生。可愛い弟みたいなものだ。



貰ったネックレスがわりとお値段のいくブランド物だったから、どれだけバイトを頑張ってくれたのだと色んな意味で感動してしまった。


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