Livre magic〜動き出す歯車〜
メルキュールたちが本の中を出入りできていたのは、ノワールがいたからだ。普通は本の中に出入りすることなどできない。その能力を持った者が今いない以上、メルキュールたちにはどうすることもできないのだ。

「そうだ、オズワルドさんを呼ぼう!オズワルドさんはこの事件の捜査を担当しているから、ノワールを助けられる!」

リオンがそう言った刹那、「俺が何だって?」とオズワルドがリビングに入ってきた。一体、いつの間にノワールの家に来たのだろうか。メルキュールは警戒する。

「実は、先生がこの本の中に閉じ込められてしまったみたいなんです。先生を助けてください!」

エリカが状況を説明すると、「へえ……」とオズワルドは興味なさげに言う。何かがおかしいとリオンたちも感じたようだ。普段、オズワルドは本の中に閉じ込められた人を一人でも多く助けようとしている。ノワールが閉じ込められたと知ったなら、慌てるはずだ。

「お前たちも同じ場所へ送ってやるよ。じゃあな」
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