LIONの許婚

金💰の魔力

慌ただしい年始も早、七草
あれから桜佑の、御両親とは挨拶
もする暇もなくカナダへと
帰られたらしい。


お客様も数多くバタバタと
忙しく暇が出来てお部屋へと
向かった時はもう帰られた後だった。


「真壁、桜祐の許婚は?
何故顔をださないの?
挨拶も出来ない子なの?」

目鼻立ちの整って桜祐に良く似た
桜祐の、母梨代はきちんと結い上げ
た髪にビシッと藍色の、着物でキメ
キツい眼差しで聞いてきた。

50過ぎとはいえ貫禄充分。

「はい。
奥様、今悠里様は下働きの、
見習い中でございます。」

真加部も恐縮してこたえた。

「ん?見習い?」

「はい
家政婦長の、宮さんに
預けてあります。
会長も納得済みです。」


「・・会長が?」

「はい、分け隔てなく
扱えろとおっしゃった!あ‼
悠里様はあの方です。
座布団を抱えていらっしゃる。👉」


「まあ、ちょっと痩せてない?
ちゃんと食べてるの?」


「ご心配なく、あれでも太られた
内で未だ痩せておいででした。」


「まあ、あんな子で桜祐は
いいの?」


「はい。
大層な溺愛ぶりで私も
ビックリいたしました。」


「情けない!
あんなオンナの、娘にᗦ↞◃骨ヌキに
なるなんて・・」


客間の、入口から真加部と梨代が
見てるとも知らず悠里はアッチコッチ忙しく働いていた。


「まあ、可愛らしい顔は
しているわね。

母親に似て男ウケするのかしら
あなた、あなた。」


「なんだ梨代、」

客間から出てきた父親桜庵(おうあん)
は梨代の、キツい目の向く方へ
顔を向けた。

「あの子が悠里だって‼」

「ん?悠里?」

「チッ」
鈍い桜庵に舌打ちして顔をプイプイ
どうやらコチラは、かかあ天下
の、様子

「桜祐の、嫁候補よ。」

「ほほう、可愛らしいじゃないか‼」

「可愛らしいけど
あの オンナの子よ ホラあの
ケバい、お金にがめつい三上の、
だからお父様は下働きから
叩き直していらっしゃるのよ。

納得だわ。」


「まあ、良いじゃないか
気の強さは、彼女(智和)と、梨代は
同レベル、桜祐が気に入ってるなら
それでいい。ハハハ」

どうやら桜庵は雪乃似らしい。
穏やかで観察力がある。
智和と梨代は学生時代の知り合いで
仲が悪かった。

「私は、反対だわ。
桜祐にはもっとキチンと
育てられた、ご令嬢がいいわ
お義父様だって前からそう仰っていたのに?」

そばにいた真加部は、
「会長もお二人が上手く行かない
場合は、会長の、おすすめの
ご令嬢と、お見合いを進める
との事です。」


チラっと嫁の梨代を見た桜庵は
「嫁の事で口を出すな!
桜祐も気に入ってるじゃないか‼」


「騙されているのよ。
あの女なら男を誑かす技を
教え込んでるハズよ」
梨代はきつい口元をキッと釣り上げて吐き捨てた。

「桜祐は何回も席を立って
彼女を気にしているぞ!ホラ👉」

ソワソワと落ち着かない桜祐は
ドタバタと走り回る
悠里を襖を少し開けてみていた。


「まあ、はしたない!」

「さっき母さんが客人には
説明していて皆微笑ましく
見ていたんだ。」

「まあ、お義母様が?
お義母様は賛成しておられるの?」


「えっ・・と‼
悠里様をお呼びいたしましょうか?」

真壁は気を聞かせて呼びに
行こうとしたが、桜庵の一言で
足を止めた。


「いや、未だハッキリ許婚と
発表した段階ではない、

会長も、そうつけ加えていた。
またの、機会にで、な‼梨代‼」

梨代は考えていたが

「そうね、お義父様が納得されて
からでいいでしょう。」

真加部は静かに頭を下げ了承した。
そして一月五日短い滞在を終え
桜佑の、両親は悠里に合う事無く
カナダへと帰って行った。


「気にするな!
朝から夜まで働いていたんだ
両親も納得済みだって
真壁も言ってたろう。」

優しい眼差しで桜祐は悠里を
覗き込み悠里の、鼻をムニムニ

「いっ痛い!!」

「ホレ、Appleパイ好きだろ‼
有名なケーキ店から
真壁が買ってきたんだ。」

悠里の、マンションでコタツに座り
ガトーアンリの、箱を開けると
甘い焼きリンゴとシナモンの匂いが
食いしん坊の、悠里の、鼻を
擦った。

コタツは加納家の、バイト代1週間分
の、1部で買った。

思いの外、高額が支給されていて
桜祐が昨日持ってきてくれた。

それに加納家からお年玉が追加
されていた。

悠里はお祖母様に電話でお礼を
言っただけなのに
お祖母様はしっかり喜んでいた。


悠里はコタツの上で手の平を
ポイポイ

ん?
桜祐と目が合う。

またポイポイ5本指を動かす。

「なに?(笑)」


「なんか忘れてるよ!
お、が付いて一番最後が ま‼」


「え‼∑(꒪꒳꒪;)俺も‼」


「うんうんホレホレ」
悠里はクレクレと掌をクイクイ

「へ?マジか?」

桜佑は携帯を出して10万悠里に
送った。

「うわ”━━時代だね(笑)
冗談だよ。
桜佑にはいっぱいして貰ってるから」

悠里はま又桜佑の、携帯に10万
送り返した。
電子マネーは行ったり来たり

「おま‼
俺に恥かかせるのか?」

「うん?。
貰った事無いから貰う気持ちを
感じてみたかったんだぁ
でも流石に多すぎ
千円くらいかと思ったアハハハ
来年は・・・」


「ん?来年がどうしたの?」
Appleパイをカットしていた
桜佑が顔を上げた。


「なんでも無い。
美味しそう♥」

来年も・・一緒にすごせるかな?
と悠里は言いたかった。
悠里の携帯に又桜佑から10万
お年玉が入っていた。
それを見ながら桜佑に会った時は
¥1000しかポケットに無かったなぁ
クスクスと思い出し笑いをする。


桜佑はお昼から仕事だと言って
Appleパイを食べて出て行った

「後、何年桜祐と居られるかな
お爺様がそろそろ何処ぞの
お嬢様とお見合いをさせるらしい。」

そんな情報を悠里は加納家の年始
のバイトしていた時、家政婦さん達の噂を聞いていた
桜祐との偽許婚がバレたのかも
知れない。

つくづく運が無いなぁ
桜祐の、事大好きになっちゃった
馬鹿だなぁ


桜祐の、使ったカップを見つめ
ながらオレンジジュースを
飲む。

ひと眠りして
悠里は夕方の、バイトにスーパー
に向かう。

「お年玉でチャリを買おうかな!」
そんなニヤけた事を考えながら歩く。


「悠里、悠里」
後ろから声を掛けてきたのは
ペカペカな車に乗る桜哉だった。

すっかりお年玉慣れした悠里は
『もしや』
と期待を持ってしまった。



「今晩は・・悠里!」

「ワクワクワクワク今晩は・・
どうしたんですか?」


「さっきまで桜祐と一緒だったよ。」
桜哉は桜祐に似た優しい笑いを
浮かべた。

「そうなんですね、お疲れ様です。」

「最近、桜祐になんでも買って
貰ってる?」


「え?」

「アイツお年玉ねだられた
って言ってたぞ!

ホラこれは俺から」

桜哉はお金を5万出してきた。

悠里は・・ポカーン

「ああ、ごめん少なかった?
現金これしかなくてサ」


「いえ、いただきません
そんな、だい大金‼。」


告げ口や2人の間での会話を
言いふらした桜祐にドタマに来た
悠里は携帯を出して桜佑にすぐ
10万返した。

ちゃんと返しましたから桜哉さん
証人になってください。


悠里は桜哉に携帯を見せた
又桜祐が送って来ると行けないから
ブロックした。



「エッ、どうして?」
桜哉はビックリ


「初めから貰うつもり無かった
んです。
中味じゃ無くて気持ちをねだった
んです。
お年玉を貰う気持ちってどんなん
かなって‼
だから桜哉さんのも、気持ちだけ
いただきます。
お金はいただけません。」


”「それに・・
確かに買って貰ったんですけど
月一万づつ返してます。
買って貰ってるつもりは
ありません。
お金は月々返してますから。」

唖然と見送る桜哉を振り返る事
なく・・・

悠里は深く反省した。
自分も義両親と同じだ‼
知らぬ間にお金をせびっていたんだ
なんて事だ。

明日お祖母様にもお年玉を
返しに行こう。

私はあんな継母に似ては行けない‼
私はあの人達の子供では無いんだよ‼

一人で生きる事を、決心していたのに!
何時の間にか忘れていた、
それは、桜祐が
急に優しくなったから甘える事を
覚えてしまった。


お金は人を変える‼
悠里は身に染みてその事を知った。
お金には魔力がある。


「お爺様、上手く行きましたよ。
2人は喧嘩するでしょうね。

でもなんか気分悪い‼
悠里はいい子じゃありませんか?
何処が気に要らないんです?

桜祐の、お年玉もちゃんと
返してましたよ。」


「気に要らんのはあの子の
両親じゃ、きっと又桜祐に
必ず金の無心に行くじゃろう。

そして何回も繰り返し桜祐は
断れず、落ちていくんじゃ
それが恐ろしいんじゃ‼」

「そうでしょうか?」

「桜祐の、為じゃ
嫌われ役をかってくれて
すまん事じゃ。」


「い・・・え
お爺様‼」






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