LIONの許婚
「悠里様お話が・・・」
キャバの仕事が終わり店を出た時
生真面目な彼に声をかけられた。
何度か桜祐といる所をみかけた
彼は桜祐の秘書?




「あ、すみません、ごめんなさい。
今日は、あのう」

悠里は、その向こうから

「桜子、こっちこっち‼」
と手を振る男性。
そう今日は大事な話があると小澤に
言われ化粧は、仕事のまま
花柄の胸あきワンピースにイヤリング
かかとの高いヒールをはいて
悠里の太客小澤史郎に誘われ
少し飲みに出るつもりで店を出た。


「すみません、
今日は先約がありまして
ご一緒出来ません。」

「(-⊡_⊡)そう・・ですか
あの方は小澤社長ですね。」

「はい。」

悠里はペコりと頭を下げ小澤の車に
乗って行った。

「後をつけてください。」

張り付いていた探偵に田中は
指示をだした。


「もしもし社長、どこですか?」

「ああ、今
俺の行きつけのBARにいる。
悠里を連れてきてくれ。」


「何を呑気な‼
今悠里さんは小澤社長と
御一緒ですよ
アフターってヤツですよ‼」


《《な、なにィ━💥》》

「どこだ、何処だ‼
直ぐ出る‼」

「今探偵さんがつけています。
連絡が入り次第、お知らせします
イライラでしょうが
すぐ何が始まるわけでも無いと
思います。
冷静にお待ちください。」


「冷静でいられブチッ(+。+)イテッ!‼」

田中に電話を切られ桜祐は、外に
飛び出した。
マスターも話を聞いていて
桜祐に同情の目をむけていた。

。oO小澤史郎、結構業界では有名人
金払いが良く、イケメンで、ガタイ
がよく人望もある。

「はぁー」
寄りによって相手が小澤社長
加納君とは歳も変わらないが

小澤史郎とは段違い
遊び人でいい加減
最近は落ち着いてきたのか
女の子を連れ回す事はなくなったが
前は酷かった。

桜祐は取っかえ引っ変え権力と金を
ひけらかし遊び放題‼
店に迷惑も掛けられた。 
まあ悪い人じゃないが酒癖が悪すぎ

それと引き換え小澤史郎
紳士で懐が深く女の子に大人気‼

「カレに勝ち目はないだろうなぁ!
私が女でも、小澤史郎を取る
自業自得ってヤツか‼」

マスターは桜祐に同情しながらも
幸せになるなら小澤を選べと
まだ見ぬ桜祐の狙っている
彼女にエールをおくる。

「社長行先がわかりました。」

《《どこだ‼》》


カーネル、スノードロップ

「ああ、あそこか!
すぐ行く!」

「私は到着しまブチッ!」
👂(´×ω×`)切られたw

桜祐は、直ぐタクシーを止めて
飛び乗ったが後部座席で
足踏みする。

タクシーの運転手は、落ち着きの無い
客だな!

この客は、外を眺めてはキョロキョロ
信号で止まっては、足踏み

「お客様、もうすぐですから
落ち着いてください。」

「早く早くしてくれ、w━━━
もういいっ ͟͞ ꜆ ̱͞꜄ᘆ));ˋд´ )」
桜祐は、万札をポンと置くと
ドアを開け走り出した。


スノードロップの看板が
見えると入口で待つ田中を見つけた。

「ハァハァハァハァはァ」

🚖「おきゃくさ━━━━ん
お釣りお釣り‼」

桜祐が乗っていたタクシーが
ほぼ同時に到着‼

「な、なんだよ、それどころじや
ね━━━━━━よ‼ハアハアハアハア」

クスクスクス
田中はどうせなら乗って
来れば良いのに!
時間変わら無いじゃん。
そう思ったが田中は、タクシーの
方へ歩き声をかける。

「お釣りはご迷惑かけた
お詫びです。
お受け取りくださいませ。」

丁寧な田中の応対に
🚖の運転手さんは

「あなたも大変ですね。
同情しますよ。」
とため息を付きながら

細身の50代位の
運転手さんは苦笑いを浮かべ
「有難くいただきます。」
とペコりと頭を下げ走って行った。



桜祐は息を整えるのも、つかの間
エレベーターの方へダッシュして
イライラしながらエレベーターが
来るのを待っていた。

田中も猛ダッシュして桜祐の元へ
駆け寄る。


「待って、待って社長
落ち着かないと舐められます!
相手は小澤社長ですよ‼」
桜祐の腕を引き引き止めた。

「ハイ
吸ってぇ━━━━━━え
吐いてぇ━━━━━━━え」

スーハスーハ━
田中は、桜祐のネクタイをキチンと
締め身だしなみを整えながら
エレベーターに乗った。


黒い、ぶ厚い扉を開けると

広い店内は、ジャズが流れ
薄暗いあかりが大人ムード満点‼

客をキョロキョロ
悠里をさがす。
ウロウロしながら遠目に悠里を
目敏く見つけた。

柔らかいブラウンの髪がウエーブを
描き白い肩が剥き出しのワンピを
着て悠里は、にこやかに笑っていた。

悠里に見とれつつ立っている桜祐を
桜祐の後ろに立っていた田中が
人差し指で背中を
ツンツン ツンツン
(早くイケ、イケ)


小澤が悠里の背中に手を回した時
ドッカーン💢💢
遂に刺激を受けたのか桜祐が
行動に出た。

つかつかつかつかと、2人目掛けて
歩き出すと話声が耳に入って来る。

「私、許嫁が居まして、
小澤社長の気持ちは嬉しいん
ですけど・・・」

そう悠里は、断りをいれた。


「嘘だろ‼
桜子、君は何を怖がってる?
君の事は俺が守るし
君が才女という事も分かっている。
今の職業を気にしてるのなら
大丈夫だよ。」


「小澤社長、本当に許婚が
いるんです。」


「ハア
桜子、じゃぁ誰だ?
名前を言ってミロ‼」

桜祐は、小澤史郎の肩を掴みググググ
と自分の方に向けて‼

ゴラァゴゴゴゴゴゴォ
「オレだ、小澤史郎久しぶり‼」

エエエッ?

「え?なんで加納桜祐が・・・‼」
小澤史郎は動けない!

桜祐は、桜子と史郎の間に
グリグリと足を挟み
悠里の前に出た。


「いやいやいや嘘だろう桜子
なんで桜祐なんだ?」

史郎は、桜祐の後ろにいる
桜子に聞いた。

「えっとぉ、あのう、そのぅ!」


「お前とは腐れ縁ポイな‼」
桜祐は、史郎を見てニヤリとした。


「桜祐、お前遊ぶ女なら
吐いてすてるほどいるんだろ
桜子は、遊ぶ女の子じゃない‼
手を引け」

ブアンと立ちはだかる小澤に
桜祐も負けずと睨みを聞かせ
メンチ切る。

殺気漂う店内に田中が声をかける
2人は鼻を近ずけ目を離さず
顔をクネクネ

「小澤社長、悠里、いえ桜子
さんは確かに加納の許婚です。
桜子さん、帰りましょう。」


「え、いえ、あのう、何処へ?」


「桜子、俺を選べ
桜祐とは縁を切れ」


「んだとお、ゴラァ
勝手な事言うな‼↱」


「お前に許婚がいるなんて
聞いた事無かったぞ‼」
小澤史郎が桜祐に食いついた。

「フンお前こそ真面目ヅラして
遊んでたのを俺が知らなかった
・・・とでも?笑わすんな!」


「・・・俺は素人には手を
だしていない。」


はぁはぁはぁムカア━━━━‼
「桜子がプロと思っていたか?
ꉂꉂ(ᵔᗜᵔ*)あははは
残━━━━━━━━━念‼
桜子は、俺しか知らない
アハハハハ」



「素人とか学生の頃の話だ
今は、一女性として
桜子が好きなんだ‼」

小澤もキッと桜祐を睨み低い
声で諦めさせようとする。


「ふん、客の戯言だ
バカバカしい。
行くぞ、悠里‼」

桜祐は、悠里の手を引っ張り
BARをでた。


「何処行くの桜祐‼」
「俺のマンション‼」

悠里は、足を止めた
桜祐は、そんな悠里を振り返った。

「ダメだよ、お爺様に
又文句言われる。
まだ借金も返し終わらないし
それに
桜祐は、出てけって
言ったじゃない。」


「あれからずっと悠里を
探した、何年も、興信所にも
頼んだ!
見つからなかった!
でも流石だな最後は見つけて
くれたよ。」


「えっ、いくらかかったの?
私お金返せないよ。」

桜祐は、悠里を引き寄せ
「悠里、綺麗になったな
見違えるようだよ。
小澤が惚れるのも無理は無い。

小澤が好きか?
小澤のところへ行くか?」
立ち止まった桜祐は、悠里に優しく
つぶやいた。


「小澤社長は、いい人と思うよ
でも、桜祐が、桜祐が邪魔する

好きになろうとしても
桜祐が忘れられない。」

「悠里(っ´>ω<))ω<`)ギュッ♡」


薄暗い街のあかりに2人は浮かぶ
ように見えた。
夜のネオンは、ポツポツと消えて
違う街の賑わいがはじまる。


「やれやれ、ホッと一息です。
小澤社長がスパイスになった
ようです。」

田中秘書は小澤の顔を見ながら
ニッコリ笑った。

「は‼
よくゆうよ、今日桜子に
気持ちを打ち明けようとしたのに
アイツ‼どっから出てくるんだ‼」


「ありがとうございました。
小澤社長」


「はぁ
桜祐には学生時代から勝てないんだ
遊び人でいい加減で女の子泣かして
ばかりいるんだよ。
なんでアイツが持ってくんだろうな!」


「わたくしも分かりません。
確かに無理ばかり言われますし
・・・何故か放って置けなくて‼」


「あなた、田中さんでしたっけ?」

「はい。」

「加納より倍給料を出します
うちに来ませんか?」


「えっ」

「歓迎しますよ。」


「いえいえ、桜佑様にはボーナスもupして 貰えそうですし

なんせライオンですから
裏切り者の成れの果てを
何人もみてきました。

私は今のライオンが気に入って
います。
気持ちだけ頂きます。」

田中は、礼儀正しく頭を下げ
「お先に帰ります。
御一緒しますか!
お送り致します。」



「いや、もう少し飲んで帰りますよ。」

「そうですか、では‼
失礼します。」


小澤には彼こそがライオンに
見えた。

パーキングに入って行く田中を
見送りながら、小澤社長は、
頭をかきながら白んでくる
空をみていた。

小澤は、今どんな気持ちで
いるのだろう。
この後やはり小澤はプロフェッショナルな女達に癒されたのだろうか‼



彼にも早くいい令嬢が現れることを
祈るばかりだ
田中は立ち止まり小澤を見送った。
< 26 / 34 >

この作品をシェア

pagetop