LIONの許婚

初めての焼肉

二階の窓からチョコチョコ走る
生き物発見。

待ってましたとばかりに

俺は冷蔵庫からクリームケーキ
ホールをテーブルの上に置いた。

お昼は悠里を焼肉に誘う。

なんだかウキウキするのは
何故だろう。

カチャカチャ
ドアノブを回す音がする。
『ククク帰って来た‼』
俺はたぬき寝入り。


悠里はケーキに気づいたんだろう
息も止まったように静かになった。





余りの静けさに待ち切れなくなり

ソロ~リとドアを明け覗い
ていると
┣¨┣¨┣¨┣┣¨┣¨┣¨┣¨
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣バ━━━━━━━━━━━━ン‼
悠里はドアを勢いよく開き

ドカンと飛び付いてきた。
俺の臀に、両足でしがみつき
長いカールをした髪は俺の頬を
なでて両腕は首に巻きついていた
ガッシリと動かない。



「桜祐、桜祐、桜祐」
桜祐は悠里のアタマを優しく
撫でた。

「フッ悠里可愛い。」

「桜祐、ケーキがある。」

「ああ、16歳おめでとう」


「なんでーなんで知ってんのぉー」
桜祐はベットの下からゴソゴソ
とデッカイサイズの熊の縫いぐるみ
を引き出した。

うるうるうる
桜祐ーウッウッウうわぁぁん
初めて貰う誕プレ
噂の誕プレ

「悠里何処に行ってたんだ?」

「こ、公園で誕生日を鳥に
お祝いしてもらってた。」


「お前時々不思議ちゃんだなぁ!」

「え(´⚲﹏⚲`)ウルウル・・・そうかなぁ!」

桜祐は急に甘えて来る悠里が
可愛いかった。
あんなに俺に拒絶反応していたくせに お姫様のご機嫌はかなり回復した様子

「悠里、昼飯焼肉に行くぞ!」

「え‼焼肉、」

「お前中落ちが好き
なんだろ‼」

悠里は何かを気にしながら
「いや大丈夫!
ケーキで、充分だよ~」

「何言ってんだよ。
上カルビーも、豚トロも、ハラミ
も、上タンも食べ放題だ‼」

「うん、ちょっと待ってね。」
悠里は後ろを向いて俺を気に
しつつ財布を開けていた。

「ぎゅ、牛丼にしょ‼
待っててね、買ってくる。」

「は?悠里焼肉食べたいんじゃ
ナイノ?」

「エッ・・・っと、
牛、牛丼がたべたくなって

ケーキの、その、あの
お、お礼しないと・・・
高そうなケーキだし。」

「は?」

「だって誕生日は呼んだ方が
ご馳走しなきゃだし!
この場合、桜祐はお客さんなので」

「は?」

「は?って・・・
まちがってる?」

「アハハ〃ウケル‼
悠里ってククク
食事代は、俺が出すから、
それとも・・・
牛丼のほうがいいの?」

「ヤキニク ガィィ」

「ん?なんだって👂””」
「📣だからぁ焼肉がイイノ‼」

「ꉂꉂ)ァ,、'`正直者メ
ケーキは帰ってからくうか?」

「うん❤」


悠里はバイト代で買ったという
花柄のワンピースと白のカーディガン


「いくらしたか当てて見て
スッゴイ悩んだんだよ。」


「エッ298とか?」

「惜しい‼」

「へぇーじゃあ5?」


「うん。
よく分かったね━━━‼」


「オオ━━━━ケチいや節約家の、
悠里にしては頑張ったな‼」


「うん。
フリマの、お姉さんは¥1000って
言ってたんだけど事情話したら
半分に負けてくれた。」



「は?5万じゃないの?
5百円ってこと?」


「うん。
500円‼ってか5万ってなに?
そんな高い服あるの?」


「ウワァ・・・逆に5百円が
ある事にビックリだワ」






‎こ、コレ‼
「コレに乗るの‼ スゲー‼
何時もの車は?」

「あれは会社の車
これは俺の車‼」

:;((°ө°));:ヒェッピカペカ✨
「あの車もスゲかったんだけど
コレなに?」


「あーツベコベ言わない‼
乗れ、乗れ‼」

「あ、う、うん。
肉、肉ぅ久しぶりの焼肉いぇーい」

車は高速に乗った
…ヒエー
高速初めて〜初めての景色
町の見慣れた景色とはちがう。

〇〇牛INのデカイ看板が見える
車は大きな牛のオブジェのある
焼肉屋さんに入った。
牛の角が出迎える

悠里はキョロキョロ

もの珍しさにキョロキョロ

「おい、悠里前見て歩け‼」

《《ゴン‼》》イタッ
駐車止めのコンクリにつまづいた。
デ━━━━━━━━━━━━ン

《《ゆうりー》》

イテテテテ
3メートルくらい先を歩いて
いた桜佑が振り向いた時は
見事なズッテンコ

「お前、何やってんの‼」

「イテテテテち、血がーあぁ
血が出たー‼」

悠里は
「桜佑、先に行ってて
ちょっとしてから行くから」

「は?病院が先だろ!
歩けるか?」

「え?病院?ってこれくらいじゃ
行けるわけ無いよ」

「ん?なに訳分からない
事言うんだ?」

「だって、包丁で指切った時
言われたもん。
痛いなら指切るな‼
骨が見えてからじゃないと
ケガとは認め無いって‼」

「誰がそんな事を
言ったんだ?」

「え?親の親戚‼」

「じゃあお前どうしたんだよ!」

「輪ゴムで縛って血を止めた
でも輪ゴムの所が痛くなって
指が冷たくなって来たから
輪ゴムを取って指を頭ぐらい
ずーっと上げてたら
血が止まった。」

「幾つのとき?」

「小学校4年生。」

「お前、それ虐待じゃないか
良く無事に生きてきたな‼」

「言われた事を守っていたら
怒られなくなったから・・・
それから包丁を握る時は
注意してきた。」

「・・・」

「ほら血が止まった。」
悠里はゴソゴソとバックから
濡れティッシュを取り出し
ひざをイテイテ言いながら拭いた

「俺がやってやるよ。」

「ダメ、血が1番ヤバイんだって
血は触ったら駄目なんだよ。」

「お前、そんな知識はあるんな‼
悠里の血なら大丈夫
俺たちは許婚なんだからな‼」

「チエッ、取りやめの許婚
だけどね。‼」

フッ
「案外、しっこいぞ‼」

桜祐は悠里の手を取って
病院を探しナビを入れて焼肉屋を
でた。

桜佑は無口になり怒っている
ようで話しかけ辛い。

焼肉が目の前なのにゴメンなさい
怒られるのが嫌で悠里は心で
呟いた。


悠里はショボーン
しばらくすると中野外科と
言う看板が見えてきた。

桜佑はホッとした顔をして
悠里を抱き上げた。
桜佑は痩せて見えるが
力の凄さに悠里は( ˙!˙ )ビックリ

またまた怒られるのは嫌なので
黙ってダッコする桜佑に従った。

女医さんだが40代ぐらい
とても美人な、優しい
先生だった。

「はい、終わりましたよ。
ただの打ち身だから
すぐよくなりますよ。
痛み止めと湿布を出しときますね。
お大事に‼」

「ありがとうございました。」
俺は先生に御礼を言うが悠里は黙ってペコリと頭を下げていた。
少しビッコしながら歩く悠里を支えながら平屋建ての病院を出る
悠里は相変わらず元気がない。

「焼肉食べに行くぞ!」

「え?いいよーだって帰り遅くなるよ!
もう夕方近いし・・・
悪いよ。」
シートベルトをしながら悠里は残念そうに呟いた。

「悠里、」
桜佑はハンドルを切りながら
誕生日は、俺に我儘言って
いいぞ‼

誕生日なんだからな!」


悠里は運転する桜祐を見て
「我儘?
それに
誕生日は昨日だったし」
悠里は桜祐の言うワガママの
意味がわからない。

病院へ連れてってくれて
ご飯迄ご馳走してくれる

薬まで貰えて
充分なくらいワガママを聞いて
くれているんじゃあなかろうか?
そんな事を考えながらつい
桜祐を見てしまった。

桜祐は優しい目で笑って
頭をゴシゴシ撫でてくれた。

出会いの時は、厳しい
体が凍りつくような冷たい目を
向けていたのに・・・

桜佑は私を嫌いじゃないのかな?

さっきの焼肉屋さんに着いた
外迄美味しい匂いが流れて
悠里と桜佑のお腹は、
ペコペコ



案内されてテーブルに座ると、
桜佑は
悠里の好きな中落ち
塩タンレモン、カルビーハラミ
沢山注文してくれた。


手際よく悠里が肉を焼く!
焼くのは手馴れたもんだ。



「悠里食べろ!」

1人分の肉が、桜祐が食べやすい
用に焼けている。

「え?だって桜祐まだまだ
食べるでしょう。」

「おう、勿論食べるよ!」

「うん。」
悠里は又ニコニコしながら
桜祐の方を見た。

「いっぱい食べてくださいね。」

桜祐は首を捻りながら
焼肉、嫌だったか?
何が食べたいのか?

ステーキか‼💡あ━━━━━━っ‼
そうか‼ステーキか‼


桜祐はパパパと焼肉を平らげた
せっかく悠里が焼いてくれた肉だ‼

「ちょっとトイレ行ってくる!
すぐ出るから待ってろ‼」


「うん。」


悠里はそれを見てようやく
箸を持った
中落ちカルビが2つ残って
焼け焦げたハラミと豚トロが
1枚あった。


「頂きます。」


悠里は残ったわずかの焼肉に
手を伸ばした。

中落ちカルビをゆっくり
ゆっくり味わって食べる。

美味しい(;´༎ຶٹ༎ຶ`)なんて美味しいの
ゆっくり食べるつもりがガツガツ
と食べてしまったが
あー早く食べると勿体ない、
デモ桜祐が帰って来るまで
食べないと・・・ŧ‹”ŧ‹”ŧ‹”ŧ‹”
まだお腹が溜まらない!



桜祐の残したご飯と自分のご飯
に焼肉のタレをぶっ掛けて
焼肉のタレご飯をかきこむ!
美味しい最高ー
お誕生日って美味しかったんだぁ~♥
幸せ。



《《悠里‼》》
ŧ‹”ŧ‹”ŧ‹”ŧグん?
呼ばれて悠里は振り返る。



ご飯を、かきこんだ頬っぺは
プックラ丸く
🐹ハムスター状態

《《何してるの?》》


「ŧ‹”ŧ‹”桜祐が帰るって言うから
ŧ‹”ŧ‹”早く食べなきゃって思って
食べてŧ‹”ŧ‹”るの、ゴクッ
トイレ早かったね。」


《《はあああぁぁー》》

「悠里なんで一緒に食わなかった?
焼肉嫌いじゃないんだろ‼」



悠里の肩を揺さぶり桜祐は
攻めてくる。
悠里はポカンとしながら
項垂れる桜佑を見た。


「桜祐、怒っているの?
悠里なんか悪いことしたの?」
しょんぼりとした声で悠里が
聞いてきた。

「俺が食えって言った時は
食べないで、居なくなったら
食べたのか?
そんなに俺がいやか?」


「え、桜祐大好きだよ‼」


「嘘つけ‼」


「だって、桜祐食べ終わった
って思ったから・・・
昔から悠里は1番最後に食べないと
叱られたし、残り物しか食べちゃ
ダメって言われて・・・
だから桜祐が食べた残り物を
食べちゃった。

ごめんなさい
まだ食べ終わって無かったの?
ごめんなさい
ごめんなさい。」

悠里は今にもポロッと落ちそ
うな涙を我慢して目を見開いて
いた。

なんて事をしたのだろう。
お茶碗にご飯も半分以上残っ
ていたのに・・
桜祐はまだ食事が終わって
無かったんだ・・・

「ごゴメンなさい‼」

桜祐はビックリして顔を上げた。
悠里は泣きべそかきながら
震えながら謝っていた。

「お前、どんな育ちかたを
したんだよ。」
桜祐は悠里が可哀想過ぎて
堪らない。


「悠里いいか良く聞け‼」

「うん。」

「もう人の残りを食べたらダメだ」

「え?なんで?
私、ご飯食べれないの?」
悠里は、ションボリした顔を項垂れる。

「一緒に食べるんだよ
俺と一緒に、た・べ・る・んだ
いいか、人の残り物は
食べなくていい。」

「え・・・じゃあ何を食べたら
いいの?」

「いいか、悠里の前に置かれた
悠里のご飯を食べるんだ
いいな‼」

「そんな・・・それは
贅沢じゃないの‼」

「違う、当たり前って言うんだよ」

「ちょっと待て‼」
桜祐は今度又肉を注文して
プレートを入れ替えてもらい
桜祐が悠里に肉を焼いてあげた。

「い、良いよー
桜祐食べなよ!」

「俺はさっき、悠里が焼肉
じゃなくてステーキたべたいのか
と思ったからガッツリ食ったから
要らない。
悠里食べろ、ゆっくり食べろ!」

「え、あ、私が食べていいの?
贅沢じゃないの?

桜祐が食べる前に食べても
いいの?」

何度も確認を取る
焼きたての肉をたべれるなんて
ありえない。

焼きたてのお肉を食べれる
なんて思って無かった。

焦げ付いてもいないし
硬くなってもいない。

桜祐の様子を、うかがいながら
恐る恐る口にする。

桜祐が優しいのは何となく
気づいていた。

初めて悠里にお腹いっぱい
食べさせてくれたのも桜祐だった。
悠里は焼きたての湯気の上がる
焼肉を堪能した。

すごく美味しくて
すごく嬉しかった。
桜祐の鼻をすする音を時たま
聞きながら、帰ったら生姜湯
を作ってあげようと思った。

「桜祐風邪ひいたんだね。」

と焼肉に心を奪われた悠里は
俺を見ながら、可愛い口を
( ´,,•ω•,,`)
アングリと開け肉を
たいらげる。

爺様が言っていた。
「儂は、お前の両親は
あまり好きでは無い‼」

爺様の言う事は、案外当たって
いるのかもしれない。

悠里の親は虐待をしていたはずだ
そして悠里はその事を当たり前だと
思っている。
桜祐も悠里の親を好きではない
金金金、用事で呼び出されては
七桁の金を要求されていた。

しかし悠里の親だから
すんなりとわたしていた。

悠里の親だから・・・



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