毒舌王子は偽りのお人形の心を甘く溶かす


このままでいいわけがないことくらいは人付き合いが下手な私でもわかる。

一度あの日のことをきちんと話し合って、その上でこれからどうしていくのかを二人で決めるべきだろう。

そんなこと、家に帰ってお風呂で湯船に浸かってのぼせながら一日を思い返していたときからわかっている。


だけどそれは……私から彼に自分の汚い過去を晒すということで。


水上くんのときは、彼が可愛くない私を知ってるって。

知っていて私に興味があるって。私のことを教えて欲しいって。

そう彼が言ったから。だから、暴露できたんだ。


でも、慎くんはそうじゃない。

周囲の目に映る、醜く酷い私を知ってしまった。

そんな彼に私の口から過去のことを打ち明けるほど、言い訳がましくてみっともないことはない。

慎くんに異性として惹かれることはなかったけど、彼の隣は居心地が良かった。

そう思えた彼から、これ以上幻滅されたくないのだ。


……いっそのこと、今すぐにでも私を振ってくれたらいいのに。


と、願う卑怯な私は、慎くんのような純粋で優しい人とはどう頑張っても釣り合わないとつくづく思う。


私みたいな人間と付き合うという黒歴史を作らせてしまったのだから、次に付き合う人はとびっきり素敵な人で幸せになって欲しい。


偽善者が他者の幸せを願ったところで神様は見向きもしてくれないだろうけど。


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