雲居の神子たち
私、中ノ守稲早(なかのもりいなさ)は中の國の皇女として生まれた。
現在13歳。
今は深山で神官や他の神子たちと暮らしている。

その中でも、いつも一緒に過ごす仲間が2人。

山の國の皇子である山ノ守須佐(やまのもりすさ)と、
東の國の皇女である東ノ守八雲(ひがしのもりやくも)。
同い年の私たちは5歳の春からずっと一緒にいる。

もう8年。
両親よりも、兄弟よりも2人と過ごす時間は長い。


ここ雲居では、それぞれの國に皇子や皇女が生まれると5歳の春までは親元で育て、その後18歳までの13年間を深山に預ける決まりがある。
子供たちは否応なしに、深山に連れてこられここで暮らす。
同行できるのは、乳母と数人の使用人。
皇子ごとに館も用意はされているが、始めの8年間は一つ屋根の下で一緒に暮らす。
深山に入った時から、皇子たちは神に仕える神子と呼ばれる。
教育係は深山の神官たち。
曲がった思想を持つことがないように、厳しく躾けられる。
また、こうして共に育つことで5つの隣国は常に友好関係を保っていく。
そして、
雲居の國々は、ここ深山で育った者でなければ國を治める者とは認めない。
それだけの力を、ここで身につける。
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