捨て猫は関西弁男子
拾ってください
「うわ、雨降ってきちゃった…」
先程までさんさんと照りつけていた太陽はどこへやら。
天気予報では一日中晴れと言っていたのに予想は大外れだ。
私は慌ててパーカーのフードを被り、駆け出した。



「洗濯物干してきちゃったのに最悪。」
ようやく、我が家のマンションに着くというところで道の脇に何かが置いてあることに気がついた。



"拾ってください"
マッキーで書かれた文字を読み段ボールの中身を覗く。
「みゃぁっ」
濡れてしっとりした猫が私を見つめた。
「可愛いねぇ」
グレーの毛並みは綺麗で端正な顔立ちをしている。
捨てられてしまったのだろうか。
飼いたいけど…
「ごめんね。うちはペット禁止だから飼えないんだ。」
そう呟くと猫はきょとんとして首を傾げた。
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