江藤くんはループしがち
江藤君の目から涙がこぼれ落ちた。


「真央を最後に会話したときに言われたんだ。『お兄ちゃんはお兄ちゃんだから、ちゃんと自分の人生を歩かないとダメなんだから』って。きっと、気がついてたんだと思う。真央が死んだ後、俺がどうするか」


あたしはただ頷いた。


そうだったんだ。


あたしがループに気がつく前までは、江藤君は真央ちゃんと会話ができないままだったんだろう。


それが少し変化して、最後の会話ができた。


だから江藤君は思いとどまったのだ。


あたしはなにも言えず、泣きじゃくる江藤君を見つめた。


「俺はこれから先も生きていていいと思うか?」


その質問はあたしには重たすぎた。


だけど答えはひとつしかない。


「そんなの当たり前じゃん」


あたしも江藤君と同じような泣き笑いの顔になって、そう答えたのだった……。
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