江藤くんはループしがち
先生が教卓に立っていて、「持久走がんばれよ!」と声をかけている。


え?


一瞬なにが起こったのかわからず戸惑い、教室内を見回した。


さっきまでとなにも変わらない風景に見えた。


でも明らかに違う部分がある。


窓の外の明るさだ。


朝に戻ってる……?


そんな疑問を感じて時計に視線を向けると、朝のホームルームの時間になっていることに気がついた。


「なんで!?」


思わず声を上げて立ち上がっていた。


ついさっき放課後になっていたはずだ。


あれだけきつい思いをして持久走をしたのだから間違いない。


「どうした緑川」


先生が眉を寄せて聞いてくる。


「え、あ……なんでもありません」


小さな声で答えて椅子に座ると、クラスメートたちから笑われてしまった。


寝ぼけていると思われたかもしれない。


実際そんな気分だった。


でもどうして?


確かにあたしは放課後にいたはずなのに……まさか、またループ!?
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