クールな副社長の秘密~偶然知ったら溺愛されて妻になりました~
 コンビニには、黒いピカピカな高級外車が止まっている。

 昨日行った芦屋の山手なら全く違和感のない車なのだろうが、オフィスの裏手のコンビニでは目立っている。

 更に、車に凭れるように立っている樹が、周辺の女性の視線を集めているのは間違いない。離れていても、身長が高く男前だとわかる。

 桃華は、さっと周囲を見回し見知った顔がないかを確認した。

 注目を集めている樹の元に行かなければならないと思うと憂鬱だ。

 仕事を終えたら、今日は駅前の百貨店でパンを買おうと思っていた。

 最近の高級食パンブームで、百貨店の中に日替わりで何店舗かの食パンが並ぶコーナーが出来ていて、桃華は頻繁に訪れてはチェックしている。

 それが、こんな事になるなんて……。

 憂鬱な気分で足が進まない。しかも、冗談だとは思うが、朝にプロポーズのような事を言われたのだ。


< 30 / 173 >

この作品をシェア

pagetop