平成極上契約結婚【元号旦那様シリーズ平成編】
二、パーティーの招待状
父を避けるように過ごした週末、お見合いの件を話し合うこともなくホッとした私だけど、まだ気が緩められない。

今週は金曜日からお盆休暇に入るので、仕事は木曜日まで忙しくなりそうだ。でも木曜日は兄から譲ってもらったパーティーがある。それを楽しみに四日間がんばろう。

その日のお昼休み、シフトが同じひとみと休憩室でお弁当を食べているときに、木曜日の退勤後の予定を聞いてみる。

「えーっ! うれしいわ! 行く行く」

ひとみは目を輝かせていつになく嬉しそうだ。

「よかったわ。ひとりでは寂しいもの」

笑みを浮かべた私は自分で作ったお弁当のおかずの甘い卵焼きをパクッと口に入れた。ひとみも派手な生活に似合わず、ひとり暮らしの彼女は節約のために自分でお弁当を作って来る。

「そこのブランド高いから自分では買えないけど、目の保養をしたいもの」

自分で買えなくてもひとみには貢いでくれるボーイフレンドがいるから、彼女が持っているバッグやアクセサリーなんかはいつもブランドものだ。

私はと言えば、ボーナスでご褒美的に買ったずっと使えそうなブランドバッグと二十歳の成人式のお祝いに両親からプレゼントされたハイブランドのショルダーバッグだけだ。

それらは通勤時には使用せずに、休日のお出かけのときにしている。

「ひとみ、お盆は埼玉の実家へ帰るんでしょう?」

我が家は両親とも東京出身で、学生の頃は田舎のある友達がうらやましかった。

「ううん。今回は帰らないわ。色々と誘われているから」

「そうなんだ。それじゃあ忙しいね」

「まあね」

ひとみはいなり寿司を口に入れる。遊び人に見えて料理上手な彼女なのだ。
< 23 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop