藍先輩の危険な溺愛レッスン。
「どうしたのじゃないよ。藍ったら全然戻らないんだもん。
先生に呼ばれていたのに、どっか行っちゃうから」


彼女は優しい口調で文句を言う。


先輩に対していつもそんな話し方をするんだろうか。


彼への愛しさが溢れている気がした。


「ごめん、野暮用で」


「もうなによそれ、誰かといたの?」


「いいや、1人で寝てただけ」


「ほんとかなー?もう駄目よ、また悪いことしちゃ」


「しないしない」


「どうだか、受験を控えてるんだからね、もう少し真面目にしなきゃ」


「はいはい、わかりました」


彼女にお説教されてても、落ち着いた声で答える先輩。


ふたりの間ではこういうやり取りが数えきれないくらい繰り返されてきたんだろうな。


どんな顔して話してるんだろう。


ふいにどうしても確かめたくなった。

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