藍先輩の危険な溺愛レッスン。

先輩の告白




「愛菜、愛菜ったら大丈夫?」


「へっ?」


「駄目よ、揚げ物をしているときにボーっとしちゃ」


「あ、そかごめん」


その日の夕方、母のお店(あいさい弁当)の厨房でお手伝いをしていたら注意された。


いけない、昼間のことを考えていたらうわの空になっていた。


うっかり、エビフライを焦がしてしまったので母に謝った。


「いいのよ、今日は帰ってからずっと元気がなかったわね。
ここ早めに終わっていいから自宅の方へ帰ってなさい」


母は怒っているわけじゃなくて心配そうにしている。


「でもまだ……」


今日はまだ藍先輩が夕飯を買いに来ていない。


だからまだ家の方へは帰りたくないな。


チラッとでも会いたいな、って思っていた。


「愛菜、疲れているみたいだから今日はもう帰りなさい」


「う、うん」


だけど、母に強くそう言われて渋々頷いた。
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