藍先輩の危険な溺愛レッスン。
仕方ないか、お母さんに心配かけたくないし。


お店を出ようとエプロンと三角巾をはずしていたら、ふいに会話が聞こえてきた。


あ、この声は。


嬉しくて瞬時にピョンって跳ねる心臓。


「春美さん、愛菜ちゃん大丈夫?体調が良くないって?俺、家まで送っていくよ」


「そうなのよ、ごめんなさいね。私はお店をあけられないから」


申し訳なさそうな母の声。


「大丈夫だよ」


それに応える先輩の声は優しい。
先輩が来てくれたんだ。


「わざわざ塾から戻ってきてくれたんでしょ?ごめんね」


「いいって、送って行ったらまた行くから。それよりも愛菜ちゃんが心配」


どうやら今日は先輩の塾の日だったみたいだ。


最近知ったんだけど、彼は週に2回塾に通っているらしい。


よくよく考えたら彼は高校3年生で受験生なんだ。
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