藍先輩の危険な溺愛レッスン。
ムードを台無しにする私の発言を彼はいとも簡単にかわす。


「こんなに泣き顔のかわいい子を好きになったのは初めてだよ」


「先輩にはかないません」


「そうでもないよ。俺は愛菜ちゃんには初めから降参してるんだから」


ううん、やっぱり先輩にはかなわないと思った。


彼のキスひとつでこんなに舞い上がってしまうんだから。


彼に抱き締められたらもうすべてがどうでもよくなってしまう。


それくらい彼が好き。自分でもこわいくらい彼のことが好き。


恋をしたらどうしてこんなに弱くなってしまうのか。


それは君を失うことが怖いから。


恋はフワフワした砂糖菓子みたいな甘い気持ちを運んできてくれる。


だけど、ドロドロの苦しくて悲しいどうにもならない感情も伴うんだね。


これまでの私はなんにも知らなかったんだな。


教えてくれたのは先輩だった。
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