藍先輩の危険な溺愛レッスン。
彼は片手で自分の頬を叩いてしまった。


まるで自分を戒めるみたいだったからハッとした。


「やめて、そんなことしないで」


彼の色白の頬がうっすら赤くなってしまった。


「いや、これでもう目が覚めた」


すっきりしたような表情だった。


「え」


「行こう」


「あ、そっか。お祭り」


目の前の彼のことに夢中で、一瞬頭の隅に追いやっていた。


急げばまだ間に合うって彼が言って、ベッドから上体を起こした。


「でもその前に帯を直すよ、ごめん」


私を起き上がらせて照れ臭そうに笑う。


「へ?」


いつのまにか帯がはずれかけていたみたい。


全然気がつかなかった。


よく見たら、彼の頬や唇に私の口紅がついていたから焦った。


その綺麗な顔についた生々しい跡は、みだらで胸がドキドキした。


まるで私が、先輩を襲ったみたい。


すぐに彼には洗面所で顔を洗ってもらった。


私は浴衣の帯を治してもらったり少し乱れた髪を整えてもらった。


「よしこれで完璧だ、急ごう」


「はい」


準備が整ったら急いで部屋を後にした。

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