藍先輩の危険な溺愛レッスン。

幼なじみの恋




瑠夏ちゃん達は神社の入口の方へ向かって走って行ったはず。


「すみません、通してください」


杉本くんの後ろから人の波をかき分けて早足で進んだ。


だけど、人気のある露店に向かう人たちで込み合っていてなかなか進めない。


それどころか、私なんて前からくる人達に流されていってしまいそう。


「佐倉さん、はぐれたら大変だから」


杉本くんは立ち止まって振り返った。


「ごめん、今だけ手を繋いでいこう」


そう言ってそっと手を差し出された。


「う、うん」


「ごめんね、でも佐倉さんをひとりにはさせられないから」


気を使っているのか、何回も謝る杉本くん。


「ううん、こっちこそごめん」


お互いペコっと頭を下げ合ってからようやく手を繋いだ。


はぐれないようにするために今だけ。
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