運命が変えた一夜 ～年上シェフの甘い溺愛～

「怖かったんです。失敗することが。また誰かと距離をつめてもしも何かがあったら、もう二度と立ち直れないんじゃないかって。前に進めないんじゃないかって。でも・・・」
「でも？」
緊張気味に聞き返す。
「悟さんとなら前に進んでみたい。・・・ううん・・悟さんとだから前に進んでみたい。」
綾乃の言葉に悟の顔に緊張から一気に喜びの表情が浮かぶ。

「それに・・・」
「・・・ん？」
「あのスープの味を私、ずっと忘れられません。あのスープには悟さんの想いがいっぱいつまってました。一口食べただけで魔法にかかったみたいにあったかい気持ちになれて、心にまで簡単に届いたんです。きっと、悟さんのお父さんも、あのスープを食べていたら、心に届いたと思いますよ？悟さんの夢も願いも、後悔も。」
綾乃の言葉に、黙る悟。

「ごめんなさい。偉そうに・・・」
沈黙に焦る綾乃に悟は真剣な顔をしたまま、見つめ返す。