運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~
「どうして不安になるんだよ。謝るんだよ。俺が喜ばないわけないだろ。無茶苦茶うれしい。叫びたいくらいだよ。」
「・・・っ・・・」
「ごめんな。不安だったな。苦しかったな。」
悟の言葉にもう一度首を横に振る綾乃。

「落ち着け。体にさわるから。心配だから。な?落ち着け。」
背中をさすりながら悟は綾乃が落ち着くまで抱きしめ続けた。



しばらくして、点滴が終わり、涙がやっと止まった綾乃を悟は抱き上げて車に運んだ。
「今俺、ふたり抱き上げてんだよな。責任重大だな。手汗がやばい。」
そう言いながら綾乃に微笑みかける悟。

綾乃は悟の首に手をまわして抱き着いた。
医師から告げられたのは妊娠という事実。

綾乃は一気に不安に襲われた。
悟が妊娠を喜んでくれた今も、その不安が消えていないことに綾乃は気づいていた。
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