運命が変えた一夜 ~年上シェフの甘い溺愛~
「レモン水のむか?」
様子をよく見ている悟は綾乃が口にする前に欲しいものを渡してくれる。
「うん。ありがとう。」
食事が思うように進まない日は、悟お手製のレモン水が綾乃にとって救いの神になる。

常に綾乃が食べられそうなものを作ってくれている悟。

「支度してくるね」
綾乃がそう言って浴室に向かうと、悟はその間に朝食の片づけを済ませて、一度マンションの駐車場に向かい、車を温めてくれる。

毎朝、悟は綾乃よりも先に起きて市場で仕入れをし、帰宅して綾乃の朝食を作り、会社に送ってからレストランへ向かうようにしている。

綾乃は悟の負担になるからと何度も断ったが、悟はつわりでひとりつらい思いをしている綾乃に、ほかにできることがないからと譲らなかった。

正直朝のラッシュの電車で出勤する元気がない綾乃は、悟のサポートがありがたかった。
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