いじめっ子の話
着替えてバイトに行く準備をする。
あまり家に居たくなくて始めたバイト。
飲食店で賄い付き。なんてありがたいことか。
制服からバイト服に着替えて家を出ようとすると、リビングから運悪く一葉が出てくる。
「あっ…」
私に気づいた一葉は何か口をモゴモゴしている。
私はそれを素通りする。
「なんとか言ったらどうだ?」
玄関まであと少し、と言うところで腕を掴まれた。
…地味に痛い。
「離して」
バイトに遅れるから。
「よ、陽介!離しなよっ!」
オドオドしながら私の腕を掴んでいる陽介の前に出る。