罰恋リフレイン
「あのさ、これコンビニでもらったからあげる」
日野にファイルを渡すと満面の笑みで受け取ってくれた。
「ありがとう! 沖田だけ揃わなくて」
ならばよかった。日野が笑顔になってくれたら嬉しい。
「いつもお菓子貰ってるのに俺はこんなのしかあげられなくてごめん」
「私が勝手にあげてるからいいの。それに、こんなのじゃないよ。私の好きなマンガのグッズだもん」
日野はファイルを見て目を輝かせている。俺まで嬉しくなってしまうから困る。こんな地味でオタクの女子が気になり始めているなんてどうかしている。嘘で告白した時には信じられなかった感情だ。こいつの笑顔をもっと見たいなんて思ってしまうのだから。
日野とダラダラと付き合って別れることも進展することもないまま、気がつけば数ヶ月たっていた。でも俺の気持ちは確実に変化している。
『明日公式ショップに行かない?』
思い切ってLINEを送る。日野の好きなマンガ雑誌の公式ショップが大型商業施設の中にできた。きっと日野はもう香菜と行ったかもしれないけれど、誘うきっかけは何でもよかった。
俺から誘ったのは初めてだ。急に誘って悪いとは思っている。日野から誘ってくれた時はいい返事をしなかったのに、もし断られたら結構傷つくな。なんて勝手なことを思ってしまう。
LINEのメッセージを受信した音にスマートフォンを見ると日野から返信が来た。
『ぜひ行きましょう! 楽しみです!』
なんで敬語なんだよと思わず笑う。
楽しみにしてくれてるんだ……なら嬉しい。
待ち合わせ場所に来た日野はまたもいつもと違う雰囲気で照れてしまう。
学校では長い髪を下ろしたままかポニーテールにしているところしか見たことないのに、今日は複雑に編み込んでいる。服も表情もいつも以上に可愛く見えてしまって目が離せなくて困る。俺と会うためにオシャレしてくれたんだろうか。