罰恋リフレイン
「私も40番。よろしくお願いします……」
「あ……よろしく……」
うわっ……こいつ同じクラスの日野じゃん。全然喋ったことねーよ。気まずいな……。
日野薫は香菜の親友。そのくらいしか知らない。
一緒に壁際に移動すると罰ゲームをやるメンバーが俺と日野を面白そうに見てくる。
何が面白いんだ。罰ゲームで告白とか定番すぎてつまんねーんだよ……。
まあいいか。もし俺が安っぽい幽霊に万が一驚いたとしても、日野に告白したところで俺と付き合う気なんてないだろうし。
「じゃあ、40組目スタートしてください」
俺と日野はホテルを背に森の中を歩き始めた。手には『40 夏城蒼 日野薫』と書かれたカードを持って。
日野は前後左右に顔を向けて怯えた様子を見せる。突然草がガサガサと揺れ、「ひっ!」と声を漏らした。
「もしかして怖い?」
「あ、うん……こういうの苦手……」
マジかよ。こんなお遊戯会レベルの肝試しに怖がるなんて。
どこからともなく鈴の音が聞こえてくると日野の体がびくりと震える。背後で石を踏んだようなジャリッと音がした瞬間に「ひうっ!」と声を上げ振り返った。俺も釣られて振り向いたけれど、遠くにホテルの明かりが見えるだけで背後には暗闇が広がっている。
「大丈夫。後から来る別の組かもしれないでしょ」
「そうだね……」
些細なことに怯える日野に不安を抱く。
罰ゲームって俺だけが叫ばなければいいんだよな。ペアの日野が叫んでも罰ゲームなんてことないよな……。
何度も叫びそうになるけれど日野は何とか耐えてくれて、ホテルの駐車場が見えてきた。
やっと終わるな。余裕余裕。
すると黒い虫のような大きな塊が横を飛んで行った。その瞬間俺の肩に何かがぶつかった感触に驚いて「うわあああ!!」と叫んでしまった。