罰恋リフレイン
泣きそうな笑顔でそう言うから手が震える。薫が俺と離れようとしていることが嫌でも分かるから。
「蒼くんをもう一度振るのが罰ゲームの仕返し」
そうか……これは俺への罰なのか。薫をずっと傷つけてきたことへの。
どう言い訳しても謝罪の言葉を吐いても薫は俺を拒絶する。
「さようなら。もう追いかけてこないで」
そう吐き捨てて薫は俺から離れていく。追いかけようと踏み出した足を止めたのは薫の頬に涙が伝うのを見たからだ。
今の薫に何をどう言葉をかけるべきか分からなかった。
何年も想い続けてたよって伝えれば薫はそれに応えてくれるんじゃないかってどこか期待していた。過去の嘘がなかったことになるのではと。
薫も俺を想ってくれていたなんて、どうしてそんな都合よく思えたのだろう。
好きだと言う度触れる度、薫はどんな思いで俺を受け入れていたのか。
俺たちは再会するべきじゃなかったのだろうか。
部屋に戻ると紗枝が洗面所でトートバッグに私物を入れていた。
「日野とうまくいった?」
抑揚のない声に一気に怒りが湧いた。
「何で来たんだよ!」
「連絡したでしょ? LINE見てないの?」
テーブルに置いたスマートフォンを見ると確かに紗枝からメッセージが来ていた。
音を消していたから見るわけがない。薫と過ごしている間は薫のことだけに集中していた。
「どうせ日野のことしか見てなかったんでしょー」
紗枝の呑気な声に力が抜けて床に座り込んだ。
「別れようって言われた……」
呟いた声は紗枝にも聞こえたのか洗面所から顔を出した。
「マジで? ざまあみろ」
面白がってニヤつく紗枝に今度は怒りが湧かない。
薫の言う通りだ。紗枝を利用していた俺は最低だ。
「紗枝……ごめん……」
俺の謝罪に紗枝は不審な顔をして横に座った。