エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
 

「す、すみません、私ったら余計なことを……」

「ははっ、いや、ちょうど聞こうと思ってたから教えてもらえて嬉しいよ。ちなみに俺は、今年で三十三だ。きみの、六つ上ってことになるな」


 六歳差……。つまり、近衛先生はタツ兄ちゃんと同い年ということだ。

 でも、タツ兄ちゃんよりも断然落ち着いて見えるし、まとう空気にも大人の色気が漂っている。


「だけど……あのとき、どうして寝かせてくれたんだ?」

「あのとき?」

「ああ、昨夜、出前を届けてくれたときに……」


 ほんの少し言いづらそうに尋ねた近衛先生は、私の真意を探るようにジッと私の目を見つめていた。


「それは……近衛先生がなんだか、すごくお疲れのように見えたので。もしかして、寝られたばかりなのかもしれないと思って、起こすのは申し訳なくて」


 実際、緊急手術のあとだったなら疲れていて当然だろう。

 器を取りに伺った際に聞いた話を思い出した私は、改めて、あのとき起こさなくて良かったと心の中で頷いた。


「そうか。やはり、俺が疲れてると思って寝かせてくれたのか」


 独り言のようにつぶやいた近衛先生は、なぜかまた、私の顔をまじまじと見つめた。


「あ、あの……?」


 どうしたんだろう。もしかして、私の顔に何かついているのかな。

 それともまだ他に、私に聞きたいことがあるとか?

 あ――。ま、まさか、寝顔を盗み見したことがバレているとか!?

 
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