エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
「それ……坂下に見つからないうちに、しまって」
「え……?」
こそっと耳打ちをされて、思わず首を傾げてしまう。
と、今度は、今お金を受け取ったばかりの手を人差し指でつつかれた。
誘導されるがまま、私は改めて自分の手の中を見てみる。
するとそこには出前の品の代金だけでなく、ふたつ折りにされたメモ用紙がのせられていた。
「おーい、何、こそこそやってんだよー」
「ほら、早くしまって」
結局、私は言われるがまま、渡されたメモをお金と一緒にエプロンのポケットに押し込んだ。
間一髪、坂下先生には見られずに済んだみたい。
でも、一体なんのメモだったんだろう……?
「坂下、お前もさっさと支払いを済ませて飯にしないと、午後のカンファレンスに間に合わなくなるぞ」
だけど結局、メモについて近衛先生に尋ねることはできなかった。
「それでは、失礼いたします」
そうして坂下先生からも代金を受け取り医局を出た私は、早足にエレベーターまで戻ると、たった今、近衛先生に渡されたメモを取り出した。
「え……」
開いたメモに書かれた文字を見て、また目を見張る。
これって……。
メモには近衛先生の綺麗な字で、【連絡してほしい】という言葉と、携帯電話の番号らしきものが書かれていた。