エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
「おい、百合! さっきからボーッと突っ立ってねぇで、さっさと働け!」
と、そんな私に、父お決まりの喝が入った。
「まったく、すいませんね、ボーッとしてて。こんなんだから、前の会社での仕事も務まらずに辞めちまって」
そのままお父さんはカウンター越しに、内田さんとは別の常連さんに声をかけた。
「ちょっとお父さん、余計なことを言わないでよ……!」
私は慌てて父の口を塞ごうと止めに入った。けれど父は鼻を鳴らして、ツンと顎を上げてふんぞり返る。
「ケッ、本当のことだろうが」
……ほんとに、やめてよ。
私は、不穏な音を立て始めた鼓動を沈めるように、下唇を噛みしめた。
「こっちは良い大学にも行かせて、そこそこ良い会社にも入れたってのに。親になんの相談もなしに辞めて、実家の世話になろうってんだから、たちがワリィ」
「もう! お父さんたら! お客さんの前で、そんな話やめなさい!」
見兼ねたお母さんが止めに入ってくれた。
私は悔しさで震える拳を握りしめて、なんとか顔に平静を貼りつけた。
「いやいや、でもさぁ。実際、百合ちゃんがこの店を手伝ってくれて、ゲンちゃんも助かってるんじゃないの?」
と、不意に口を開いたのは、父に声をかけられた常連さんだ。