エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
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「……連絡、ないなぁ」
だけどその日、約束の十三時を過ぎても近衛先生が現れることはなかった。
さらに、こちらがメッセージを送っても一切の返事もない。既読すらつかなかった。
もしかして、何かあったのかな。
不安になった私は思い切って電話をかけてみたけれど、繋がらなかった。
電波の届かないところにあるか電源が入っていないため──という機械的なアナウンスが虚しく響く。
「お母さん、やっぱり夕飯の支度、手伝うよ」
そうして気がつけば、時刻は十八時をまわっていた。
約束の時間からもう五時間が経っている。
お気に入りのワンピースを脱ぎ、久しぶりに丁寧に巻いた髪を後ろでひとつに結んだ私は、部屋着に着替えてキッチンに降りると着慣れたエプロンを身につけた。
そんな私を見たお母さんは、ほんの少しだけ困ったように微笑むだけで、野暮な詮索はしてこなかった。
……近衛先生のことだから、きっと、連絡できない理由があるんだと思う。
もしかして、事故か何かに巻き込まれたのだとしたら?
そう考えたら不安でたまらなくなったけど、今の私には近衛先生からの連絡以外で、先生の現状を知る術がなかった。