エリート外科医の灼熱求婚~独占本能で愛しい彼女を新妻に射止めたい~
 

「うそ……」


 近衛先生からの着信だった。

 すぐに画面をタップした私は携帯電話を耳に当てると、


「近衛先生!?」


 と、前のめりで声をあげた。


『百合か? 連絡が遅くなって、ごめん』


 受話器越しに聞こえた声に安堵したら、うっかり涙があふれそうになった。

 良かった……事故に遭ったとかではなさそうだ。

 そう思ったのは、謝罪を口にした近衛先生の声に張りがあり、落ち着いていたからだった。


「大丈夫です。何か、トラブルでもありましたか?」

『ああ、実は……昨日の夜から立て続けに急患が入って、結局今まで連絡ができなかった』


 『本当にすまない』と、心底申し訳なさそうに謝る近衛先生に、私は受話器越しに首を横に振った。


「なんとなく、お仕事かなとは思ってました。だから気にしないでください。むしろ、事故とかじゃなくて本当によかったです……。疲れているのに連絡くださって、ありがとうございました」

『百合……』


 約束をすっぽかされて、本当なら文句のひとつでも言っていいかもしれない。

 でも、近衛先生の声を聞いたら、文句なんて頭に浮かんでこなかった。

 何より私は、近衛先生がとても誠実で仕事熱心で、患者さん想いなことを知っているから。

 それに、私はそういう近衛先生だからこそ惹かれて、好きになった。

 近衛先生だって、きっと約束をすっぽかすつもりなんてなかったはずだ。

 だから今日のことは、少し運が悪かっただけ。

 
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