クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
 遅れて俺と陸もリビングに入る。部屋中に美味しそうな匂いが漂っていて、思わずお腹が鳴りそうになった。

 伶香が両手にお皿を持った状態で「いらっしゃい」と微笑む。

「出来合いのものでごめんね。作ろうと思っていたんだけど、朝から桜輔(おうすけ)の機嫌が悪くて諦めたの」

 伶香は眉を下げて、キルティングカーペットの上で仰向けに転がっている桜輔を見やった。

 伶香のお腹の中にいた子は春に生まれ、今月で六ヶ月になる。

「雨だからかなあ。低気圧だと子供もぐずりやすいみたいなの」

「そうなんですね」

 伶香と小春が会話をしている間も、結愛は小春の手を引いて、自分と会話をしようというアピールがすごい。

 前までは俺の後ばかり追いかけていたのに。やはり同性の方がいいのだろうか。
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