クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
 結愛が俺について回らなくなったことより、小春を結愛に取られたことが気になる。

 子供相手になにを考えているのか。

 内心苦笑して、気持ちを誤魔化すようにヨダレまみれになっていた桜輔の口元を拭った。

「そうしていると四人家族みたいね」

 キッチンの方から顔を覗かせた伶香が、俺と小春、結愛と桜輔を見てふふっと笑う。

 陸もこちらを見て頷く。

「ふたりとも子供の扱いが上手いから、知らない人が見たら親だと勘違いするだろうね」

 俺と小春はどちらともなく顔を見合わせる。小春はどことなく照れているようだった。

 可愛いな、と胸が温かくなる。

 夫婦になったといっても交際して一年ちょっと。小春の初心なところは、付き合い始めた頃とあまり変わっていない。

 飲み食いをして雑談を交わしていたら、時間は十四時半を回っていた。

 桜輔は少し前に寝室へ移動して昼寝をしている。

 結愛も疲れたのか、ソファで足をバタバタさせてテレビが見たいと言い始めた。
< 157 / 165 >

この作品をシェア

pagetop