クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
 こんな小さな子供に怖い思いをさせてしまった。

「ごめんね。びっくりしたね」

「結愛はなんともないから。それより白峰さん、立てそうにない? 地面かなり熱いだろう」

 夏の陽射しはアスファルトを溶かす勢いで熱している。遥人さんの言う通り、地面に触れている皮膚が焦がされるような痛みを感じている。

 話している間にだいぶ肩の痛みが和らいだ。これなら起き上がれるかも。

 恐る恐る手をついて、身体を持ち上げる。すぐに遥人さんの筋張った手が腋に差し込まれた。

 男性にそんな際どい場所に触れられたのは初めてで。かあっと全身が熱くなる。

 よろめきながら立ち上がる際に、ぽたぽたっと汗の滴が落ちた。

 そうだ。私、汗だくだったんだ。

 よりにもよって一番汗が滲んでいそうな腋を触られて、この場から逃げ出したいほど恥ずかしくなる。
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