クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
 背の高い遥人さんと並んでも、お似合いとしか言いようがないバランス。

 顔は小さいし、目は大きいし、手足は長い。そして癖毛の私と似ているようでまったく違う、緩く巻いた栗色の髪。

 お会いするのは五度目くらいだろうか。いつ見ても美しい姿に見惚れた。

「おい、走るな……」

「白峰さん! この度は申し訳ございませんでした!」

 私の目の前にやって来るや否や、彼女はがばっと腰を折り曲げて謝罪の言葉を口にする。

「顔を上げてくださいっ」

 私の慌てた声に、彼女は悲痛に歪ませながらもなお美しい顔を上げる。

伶香(れいか)さん、でよろしかったですよね」

 宝生さんがよく、『伶香ちゃんが、孫が』と言い直していたので、彼女の名前は知っていた。

「はい」

「きちんと検査をして問題ないと診断されましたし、ここでの医療費は、は……宝生さんに負担していただきました。そのお心遣いにとても感謝しています。ですから、これ以上私に頭を下げないでください」

 奥さんの前で遥人さんと呼んではいけないだろう。つい口走りそうになり、ちょっとだけ焦った。

 宝生さんの前だと、ややこしいから遥人さんと呼んでいたけれど。普段から、遥人さんも宝生さんと呼んだ方がよさそうだ。
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