クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
「結愛。おりこうさんにできたな。今日はママと帰ろうか」

 遥人さんが結愛ちゃんの前に屈む。

「はるくんは?」

「小春ちゃんをおうちに送っていくんだよ」

「え!」

 ふたりの会話に私は素っ頓狂な声を上げる。

「私はタクシーで帰りますので、どうぞ三人でお帰り下さい!」

「白峰さん。ご迷惑は承知なのですが、私たちも心配なので、はるくんに送らせていただけませんか?」

 伶香さんまでなにを言い出すの。

 びっくりしすぎて開いた口が塞がらない。

「伶香もこう言っているし。明日からについても相談したいから、いいかな」

「明日?」

 遥人さんの言葉に伶香さんが反応する。

「転倒した時に自転車が壊れたんだ。新しいものを用意するまでの間、俺が白峰さんの送迎をしようかと思って」

「私が、と言いたいところだけれど、私の運転する車に乗ったら命の保証ができないしね」

「伶香は絶対にハンドルを握らないでくれ」

「なによそれ。練習させてくれないから、いつまでたっても上達しないのよ?」

 口を尖らす伶香さんが可愛らしい。どうやら車の運転が苦手のようだ。
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