クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
 生まれつきひどい喘息を持っていて、治療費にお金がかかるから困ると、苦い笑いをこぼしていた彼の顔が瞼に浮かぶ。

 喘息が悪化したら仕事に行くのは困難になる。そして薬代が増し、欠勤した分のお給料は減る。悪循環だ。

 それに加えて彼には奨学金返済や実家への仕送りなどがあり、いつもお金に困っていた。

 どうにかしてあげたいと、私も心ばかりではあるが治療費を出してあげていた。栄養をつけたほうがいいと、食事をご馳走する日も多々あった。

 ただ彼の身が心配だったのだ。けれど私の姉は、胡散臭いという理由で彼を毛嫌いしていた。

『医療明細書を見せてもらいなさい』と言う、姉の意見も一理あるので彼にお願いしたら、困った様子でそれらはすぐに捨てていると告げられた。

 そんなおかしな話があるだろうか。

 余計な心配をかけないように、私の前では吸入器を使用しないのだと思っていた。でも病気なのだから我慢でどうにかなるものではない。

 冷静になって初めて、おかしな点がたくさんあると気づいた。
< 6 / 165 >

この作品をシェア

pagetop