クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
 チクッと針で刺されたような痛みがして胸の辺りをさする。

「お腹痛い?」

 なんでもすぐに気づく遥人さんに顔を覗き込まれて、苦い笑いをこぼした。

 遥人さんは、ちょっと過保護すぎる。

 お会計がまだなのに、早く外に出たいと言う結愛ちゃんに手を引っ張られる。

 私を見て「ごめん、すぐに行くから」と申し訳なさそうにする遥人さんに、私は頷いて結愛ちゃんと先に外へ出た。

 むわっとした夏の空気に息苦しさを感じながら、「結愛ちゃん待って」と引っ張られる手を自分に引き寄せる。

 ぬるい風が吹き、煙草の匂いが鼻腔をかすめた。視線を周囲に走らせると、自動ドアのすぐそばで若い男女ふたりが佇んでいる。男性の手には電子たばこがあった。

 結愛ちゃんにこの空気を吸わせたくないな、と眉間に皺を寄せた時、男性が振り返った。
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