クールな副社長はウブな彼女を独占欲全開で奪いたい
 水輝は私と同じくお寿司が好きだ。けれど私たちは回転寿司チェーン店以外に行ったことはない。

 ここのお会計は水輝が持つのだろうか。私たちはいつも割り勘だったけれど。

「こはるちゃん」

 繋ぐ手に力が入っていたらしく、結愛ちゃんが不安げに私を見上げている。

「ごめんね。もうちょっと待っていてね」

 情けない。たった一瞬でも怒りの感情に飲み込まれて、結愛ちゃんの存在を忘れていた。

 ふたりが出入り口のそばにいる私たちのもとまでやって来る。

 耐えなきゃ。

 結愛ちゃんの前で感情的になったらいけないと、ぎりっと奥歯を噛みしめた。

「お待たせ」

 そこへタイミング悪く遥人さんがお店から出てきた。私の顔を見て驚いたように目を見張る。

 自分で気づいていないだけで、もしかして相当ひどい顔をしているのだろうか。

 反射的に水輝へ視線を戻す。

 水輝は自身より二十センチほど背の高い遥人さんを、品定めするように目を眇めて眺めていた。

 それからとても小さな声で呟いた。

「……子連れかよ」
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