褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
「実玖ちゃん? どうしたの?」
「へっ⁉ あっ、そのっ」
ひゃあ! 目が合っちゃった!
綺麗でいい匂いがするからって、何うっとりしてるの!
お風呂の時といい、調子がおかしいぞ⁉ しっかりするんだ!
「顔赤いよ? 暑い?」
「だ、大丈夫です! お茶飲んだので!」
ち、近い……!
せっかくお茶飲んで涼しくなったのに、また体温上がっちゃう!
「あのっ! 昼間は兄がご迷惑をおかけしました……!」
何か話さないとと思い、昼間の話を切り出した。
先輩は何のことかわからずポカンとしている。
「昼? 何かあったっけ?」
「その、からかわれてすごく困っていたように見えたので……」
普段は息をするように褒め言葉を吐くくらい余裕がある先輩が、ここ最近、珍しく照れた顔を見せている。
先月遊んだ時もだったけど、今回も兄に何か吹き込まれたに違いない。
「不快な気分にさせてしまったのではないかと……」
「あぁ、あれか。大丈夫だよ。お兄さんの言動には慣れてるから。俺も強気で返してるし」