褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
「おっ、景斗。どうしたの」
「んー……目が覚めたらいなかったから、どこ行ったのかなって。お茶飲んでたのか」
「うん。お前も飲む?」
「いいよ、飲んだらトイレ行きたくなるから。ごゆっくり~」
──パタン……。
「もう大丈夫だよ」
バクバク鳴る心臓を押さえながらそっと立ち上がる。
ドアが開く音がした瞬間、咄嗟に先輩の後ろにしゃがみこんで隠れたのだ。
危なかった……。
あと1秒、いや、0.5秒遅れてたら完全に見つかってた。
お茶を飲みに来たからとはいえ、こんな真夜中に一緒にいたら何て言われるか……。
「間一髪、だったね」
「はい……」
いつも余裕がある先輩でも、さすがに動揺が隠しきれてないのか、口が少し引きつっている。
先輩も私と同じこと考えてたのかな。
足音が聞こえなくなったのを確認し、残っていたお茶を飲もうとコップに手を伸ばす。
と──。
「あっ、ちょっとじっとしてて」