褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
鋭いツッコミに反論できず黙り込む。

確かにそうだけど、あれはまたつまずいたら危ないから手を回しただけ。


そう言い聞かせているけれど…………本当はちょっぴり魔が差した。


しかし、その軽率な行動のせいで噂されるようになって、結果、実玖ちゃんに辛い思いをさせてしまった。


本当はもっとスキンシップを取りたいけど……また誰かに見られたら嫌だろうと思って、今は控えめにしている。







「夕方になるとちょっと肌寒いな」

「まぁ、もうすぐ12月だしね」



時刻は夕方5時を過ぎた。

駅までの道のりを忘れたと口にしたため、現在景斗を駅まで送っているところ。


「さみぃー」と手を擦る景斗を見上げる。


長年バスケットボールが恋人だったくせに、からかいやがって。
早く雪塚さんに告白しろっての。



「おい、あれ」



突然景斗が何かを見つけたように口を開いた。

視線をたどると、制服姿の男女が公園のベンチに座っている。



「キャ〜! カップルはっけ〜ん! 青春ですねぇ~」

「そうだな……」



興奮している彼に返事をし、歩きながらぼやっと眺める。

日曜日なのに制服? 文化祭だったのかな?
< 261 / 264 >

この作品をシェア

pagetop