褒め上手な先輩の「可愛い」が止まりません
ん……? んんん……⁉

公園の入口に近づいた時、ベンチにいる2人の顔が見えて、思わず目を見開いた。



「どうした? 知り合いか?」

「うん……中学の友達。あの女の子、前に略奪女って話した子」

「え、マジ?」



急いで電柱に隠れ、こっそり顔を出して様子をうかがう。


ハッキリした顔立ちの男の子と、ふわふわした雰囲気の女の子。

かつてクラスメイトだった、怜也(れいや)綿原(わたはら)さんだ。



「なんか表情固くね? もしかして別れ話してんのかな」

「いや……あいつ彼女いないって言ってたから違うと思う」



俺の頭上から顔をひょこっと出して観察中の景斗に、前を見たまま返答した。


学校は違うものの、通学に使う駅が同じなため、登下校中に何回か見かけたことがあった。

まるでカップルかってくらい、仲睦まじく話しているのが印象的で……。


なのに……どうしてこんなに深刻な空気が漂っているんだろう。



「違うんなら、告白?」

「えっ⁉」



こ、告白⁉

そういえば前に、怜也から好きな人がいるって聞かされてたっけ。

もしかして、好きな人って綿原さんのことだったのか……⁉


観察を続けていると、綿原さんが突然涙を流し始めた。

落ち着かせようと、怜也は背中を擦っている。
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