Livre magic〜温もりと冷たさ〜
カズは余裕そうな笑みを浮かべたまま、「行け!」とゾンビたちに指示を出す。すると、何百という数のゾンビたちが一斉に物の怪に向かって走っていった。

「あの数には勝てないだろ。ゾンビたちが首を噛んで胴体ごとバラバラにするはずさ」

カズが楽しげに言う中、リオンたちは物の怪の動きから目を離さずにいた。あんなオーラを出しておいて、この物の怪が簡単に倒されるはずがないと思ったからだ。

物の怪は相手にし始めたらキリがないであろう数のゾンビたちが迫ってきても、動こうとしない。そして、物の怪はゾンビたちによって埋れていく。

「よし!やったな!」

ノワールやメルキュールがいなくても、俺たちだけで勝てるんだ。

そうカズが言った刹那、ドンッという大きな衝撃音が響いた。物の怪がいた場所が爆発し、ゾンビたちが吹き飛ばされていく。

「は?」

カズの顔から笑みが消えた。物の怪はゾンビたちを爆発で倒し、電柱の上からリオンたちを見下ろしている。やはり、一筋縄ではいかない相手のようだ。
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