結果、恋をする。
帰り道、昌悟さんはくだらない話をしながらずっと話していた。
あたしはそれを笑いながら聞いていた。


「あ・・・。」

「ん?どうしたん??」

「昌悟さん!あたし見ましたよ!大悟の彼女!!」

「・・・え?」


今までしゃべり続けていた昌悟さんが黙る。


「写真見せてくれたんですよー。美人でした!やっぱり私とはレベルが違いますねぇ!!」


昌悟さんは立ち上がり遠くを見ている。


「昌悟さん?」

「見せたんや・・・。」

「・・・ん?」

「ほんまに見たん?」

「ほんとに見たん?!はるかを?!あの!!髪の毛明るい子?!」


昌悟さんが両手であたしの肩を揺らす。


「大悟はそう言ってましたけど?!」

「やったあ!!!」

「えぇ?!」

「とけとる!!!」

「な、何がですか?!」

「大悟くん!!!冷凍人間からとけてきてる!!!!!!」

「と、とけ?!」

「やったーー!!!」


昌悟さんがあたしを両手で抱きしめてくる。


「え?!は?!え?!?!」

「やったねいろちゃん!!!!やった!!!!」


抱きしめてきた昌悟さんの後ろから同じような色の髪の毛の男が歩いてきた。


「なにしとんじゃ貴様ら。」

「・・・・・え?・・・あの!!昌悟さん!!話してくださいよ!!」

「え?」


昌悟さんがが後ろを振り向くとそこには大悟がいた。
抱きしめられた両手の力を緩めた瞬間にあたしは昌悟さんからパッと離れた。


「大悟くん!おかえりぃ♪」


昌悟さんがいつもの笑顔で大悟に声をかける。
大悟は昌悟さんの言葉に返事をせずあたしを睨んだ。


「大悟くん♪ふっきれた?」

「は?何がじゃ。おい、須藤。」


大悟が睨んだままあたしに話しかけてくる。


「なに?」

「何じゃない。お前さっき俺が好きってゆっとったんじゃろ?誰でにでもそういう態度とるような女ならわざわざ言うてっこんでええけぇ。」


冷たい目があたしの心に突き刺さったような気がした。
昼間までのいじわるだけど優しい大悟とは違う。

軽蔑したような顔。


「大悟くん、抱き着いたのは俺が勝手に」

「うるさい黙っとれ。」

「黙っとらんわ。なんか勘違いしとんじゃ。」

「お前黙っとけちゅーとるじゃろが。」


大悟は勘違いをして怒っている。あたしが本気で嫌がっとけばこんな事にはならなかったかも・・・。
大悟が昌悟さんの胸倉をつかんでいる。


「ごめん!!!!!!」

「・・・・いろちゃん・・・。」


今言った所で頭に血が上っている大悟には届かないと思った。
あたしの謝罪を聞いて胸倉を掴んでいた手を離す。


「胸糞わるぃの。」


落としたカバンを拾い大悟はその場を離れた。


「・・・・・いろちゃん。何で言わんかったんじゃ」

「---------。仕方ないです・・・。」

「いろちゃん・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・。」







泣きそうだった。





全力で大悟に拒否された気持ちになった。




一目ぼれをした相手に





軽蔑されてしまった。








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