肉食系男子に、挟まれて【完結】
彼の姿を暫く眺めてから、私はカタンと椅子に腰を下ろす。
それから、はあああっと大きな溜め息をついた。
まさか、毎日こんな感じなのかな?
こんな風にからかう人いなかったから、対処に困る。
男の先生が多いし、三十前半の先生もいるけど、皆既婚者だから会話もお子さんのこととか生徒のこととかだ。
コーヒーを一度飲んでから心を落ち着かせる。
……落ち着くわけねええええ。
鼻で笑ってから腕を組み、目を閉じた。
ああ、もう寝不足で嫌でも集中力足りていないのに。
寝不足は自己責任だから、仕方ないけれど。
とりあえず、またパソコンに向かい合って画面を睨みつける。
結局、チャイムが鳴るまで私の集中が続く事はなく散々な結果だった。
教頭先生、私は貴方を恨みます。
背もたれにもたれて、だらんと手を伸ばしながら心の中の私は五寸釘を持った。
そして、それをカンカンと打ち付ける。
頭の中で思い描くにやりと笑う山本先生の顔目がけて。ふふ。
危ない思考を巡らせていると、
「あ。安西先生っ」
と、可愛らしい声がした。
ん?この声は。
だらけた体を起こして、声がした方を向く。
そこにいたのは、ふわふわの髪の毛を揺らして、大量のプリントを腕の中に抱えている久住君の姿だ。