お日さまみたいな温かい君に包まれて
「清水くんも今から行くとこ?」

「うん……」



熱を帯びたベンチにちょこんと腰かける。


浴衣を買いにデパートに行った時は一緒にここから乗ったけど、図書館なら家の近くのバス停からでも行けるはず。

なのに、なんでわざわざここまで?



「ねぇ、家の近くにバス停あったよね? そこから乗らなかったの?」

「うん。ここから乗ったほうが運賃が安くなるから」



……なんだ、節約のためだったのか。

一瞬、「俺と過ごす時間を増やしたかったのかな?」なんて考えたけど……なわけないよな。


でも、たった数十円のために、こんな炎天下の中わざわざここまで歩いて来るかな。
ちょっと期待しちゃうよ。


バスに乗り、窓際の空いている席に座る。



「清水くん、今回もシンプルコーデだね」

「あぁ、図書館のイメージに合わせたんだ」



ベージュのTシャツに綺麗めのデニムパンツ。

赤やオレンジの派手な色よりも、落ち着いた色のほうが勉強に集中できるかなと思って選んだ。

できれば宿題は今月中には終わらせたい。来月に入るとバイトが忙しくなるから。



「雪塚さんは……暑くない? 大丈夫?」

「ちょっとだけ。でも、体冷やすよりかはマシだから平気」
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