お日さまみたいな温かい君に包まれて
隣を見ると、雨で空気が冷えているのもあってか、彼の頬が少し赤く染まっている。


おいおい、そんな照れくさそうな顔すんなよ。
特別なこと何もしてないのに。

あぁもう、顔ニヤけちゃうじゃねーか。



「いいの? 毎回テスト終わった後遊んでたのに」

「うん。雪塚さんももしかしたら、俺みたいに心が疲れてるかもしれないし。それに、今の俺には実玖ちゃんがいるから」



フフフと笑った顔と最後の言葉を耳にした瞬間、上がっていた口角がピクッと引きつった。


……こいつ、乗り換えやがったな。

家まで送ってくれたお礼に、実玖に会わせてあげようと思ったけど、やーめた!



帰宅後。

東馬の言葉を思い出して、早速雪塚さんを遊びに誘うことに。

テストが終わるのが6月なので、【一緒に浴衣を見に行かない?】と送ってみた。


これは気分転換。
デートに誘っているわけではない。

だから断られても悲しむ必要はない。


何度も自分に言い聞かせながら返信を待っていると、10分程経った後にスマホ画面に通知が来た。



【いいよ! お昼ご飯食べてから集合しよっか!】



了承のメッセージを確認し、全身で喜びを噛み締める。

よっしゃぁ! 誘えた!
浴衣の神様、ありがとうございます!

よーし、テスト頑張るぞー!
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