白+紅=蒼
助っ人
それは突然の事だった。





いつもの四人で集まってお昼ご飯を食べていると教室のドアがスパーンと勢いよく開く。





ドアから現れた人物を見て目を丸くする。





ドアを勢い良く開けた犯人は同じ中学だった女の子だったからだ。





彼女、五十嵐明美はぐるっと教室内を見渡して私を見つけるとズカズカと入ってくる。





困惑している私を前に明美はニコッと笑ってパンっと両手を合わせた。





「白お願い!!!助けて!!!」





「ど、どうしたの?明美!」





目を丸くして声を掛けると明美は両手を合わせたまま私を見上げる。





「今日女バスで別の高校と練習試合があるんだけど、メンバーの先輩が一人骨折しちゃって出れなくなったの!今日の試合は練習試合でも絶対に負けられない試合だから白!!!お願い!!!試合に出て!!!」





「で、でも女バスは部員数多いんじゃないの?」

と首をかしげると明美が首を振った。





「それがレギュラー入れるほどの経験者は意外と少なくて。今日の試合も3年を中心のメンバーだったんだけど3年生は元々部員が5人しかいなくて、その3年の中に入れるくらいの実力がある子が今の部員にはいないんだよ~!」





そしてまた深々と頭を下げる明美。





「先輩たちも負けられないし、白なら余裕で試合についていけるからお願い!!!助けてー!!」





私は明美の迫力に負けて渋々頷いた。





「分かったよ。今日の放課後体育館に行くから」

苦笑しながら言うと明美はハイテンションでお礼を言ってスキップしながら私たちの教室を出ていった。





「おい白、いいのか?」廉





私は笑って頷いた。





「人助けなら仕方ないよ。それに体を動かすのは嫌いじゃないし」





「けど今日の練習相手って確か全国ベスト2の星蘭学院だぜ?」紅





「てかそもそもなんで負けられないの?ただの練習試合でしょ?」

首をかしげる美乃。





すると紅が頭を掻きながら言いにくそうに呟く。





「今日の試合に女バスの廃部と部費の増額がかかってんだよ。」





それを聞いて私たちは納得する。





うちの学校は6年間で好成績を残せない部活は廃部となり同好会にさせられるのだ。




そうするとその部に掛かる部費が自腹になってしまう為、学生からするととんでもないことになる。





「それは負けられない試合ね」

苦笑する美乃。





「じゃぁ白。今日は一緒に帰れるな。」

少しだけ嬉しそうに言う紅に私は笑った。
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